生きるこねこ

新横浜の路地裏に痩せっぽちのこねこがいた
酷い目やにで目が見えず、怯えて上手に歩けない。
ただか細い声でみゃ〜って。

 どのくらいの間見えてなかったんだろう。えさも探せないだろうからお腹も減るだろうし、さぞかし恐かっただろうな、見えないって、暗闇の恐怖や絶望と対峙しているって事なんだと思う。

タオルで拭いてやろうとしたら痛いのか嫌がってみゃ〜って泣くんだけど、心を鬼にして両手で捕まえたその時、そのあまりの痩せ細った身体に一瞬恐くなった。
思わず『ごめんね…』って口に出ちゃった。

なんとか少し開いて歩けるようになって暫く俺の後を付いて来た、衰弱してるんだろう、足取りがおぼつかない。
立ち止まり少しの間二人きりで過ごした。

やがてこねこはヨロヨロと、けど確かに一歩を踏み出した。