いしやきいも
☆金曜書き損なった分☆
金曜、西蒲田の駅付近を廻ってた。朝から頑張っちゃって夕方にはヘトヘトになったよ、
やっぱペース配分も必要みたい…。週末になると適度にサボらないと身体が持たん。
そんなこんなで後半戦、ちょうど線路をくぐる地下歩道を走ってた(営業はチャリで廻っているのだ!)
JR線と京急線が乗り合わせるため駅付近のレールは何本にも及ぶ。その線路達の下を通る長いトンネルをくぐると上り坂の上の夜空に街のネオンが見える。
と、そこに不思議な影が一つ。
大きい箱が右に左にえっちらおっちら…まるで酔っ払いみたいにたどたどしく…???
一瞬何かわからなかったそれも、追い越す瞬間には全てが読み取れた。
おっちゃんがいしやきいもの屋台を牽いている。しかし、その表情には苦しさが見え、額には汗を浮べ、足取りは今にも屋台に負けて倒れてしまいそうな不安なものだった。
思わずチャリから降りて、
『後ろ押すよ!!』
『あぁ…、ありがとう…!!』
なんとか無事上まで上り切った屋台に安心して次の客先に向かおうとしたら…
『ちょっと待ってくれ!!』
呼び止められて、
『…これしかないが、本当にありがとう。』
…あったかいいしやきいもだった。
その瞬間、まるで自分に打算があったみたいに感じた。否定したかった。少し、悔しかった。
焼き芋屋だったからじゃなくて、あんただったから押したんだよ、
伝えるのが難しくて、
『いいよ、ちゃんと買わせてよ』
としか言えなかった…
しかしそのおっちゃんはそんな俺の心を汲んでか、それを無視して焼き芋を無理やり渡し、『ありがとう、助かりました』と言い残して歩き出した。
屋台にくくり付けられたいしやきいもが来たコトを知らせる鐘の音が、夜の蒲田に悠然と響いていた。